マンション管理フロントの仕事は自分に向いているのか?本当に楽しく続けられるのか?気になっている方も多いのではないでしょうか。

今回は、マンション管理フロントの仕事に求められる適性や経験を解説します。また、仕事のメリットやよくある質問もまとめました。

マンション管理フロントには、人とのコミュニケーションスキルや他職種での幅広い経験が活かせます。

結論からお伝えすると、実はマンション管理フロントは、向いている人は長続きできる仕事ですよ。

マンション管理フロントとは?

マンション管理フロントとは、管理会社の代表として分譲マンション管理組合の運営をサポートする仕事です。

1人のフロントが複数のマンションを担当し、以下の様々な運営業務にあたります。

  • 事務作業(管理規約の改訂や管理組合の活動記録作成など)
  • 理事会や総会の運営サポート(日程や会場の調整、議案書の事前作成、当日の進行など)
  • 設備や建物の維持管理(点検やメンテナンスを実施する業者の手配ややり取りなど)
  • 関係者との折衝(管理費・修繕積立金支払い遅延者への督促や周辺地域住民とのやり取りなど)
  • 関係者のマネジメント(管理人やコンシェルジュの管理・監督)

マンション運営のプロフェッショナルとして幅広い業務をこなし、住んでいる方の安心・快適な暮らしをサポートする仕事です。

>>関連記事:マンション管理フロントとは?仕事内容から必要なスキル、転職のポイントまで徹底解説

マンション管理フロントに向いているのはどんな人?

マンション管理フロントに向いている人には、次の6つの適性があります。

  • 人と接するのが好き・コミュニケーションが得意な人
  • 住んでいる方のニーズをくみとれる気配りがある人
  • 課題を把握して解決策を考えられる人
  • 早く正確な事務処理能力に自信がある人
  • 不動産の幅広い知識がある人
  • 関連資格を持っている人

いずれもマンション管理業務のなかで適性を発揮する場面があり、他職種で培った経験も活かせます。それぞれ詳しく解説します。

人と接するのが好き・コミュニケーションが得意な人

人と接するのが好きでコミュニケーションが得意な人は、マンション管理フロントが天職と言えるでしょう。

マンション管理の業務は、担当するマンションごとに、以下のように様々な人との関わりがあるからです。

  • 住んでいる方をはじめとした区分所有者の方
  • メンテナンスにあたる業者の方
  • マンションの立地する地域住民の方や行政職員の方
  • 管理員やコンシェルジュなど日々のマンション運営に携わる方

相手の要件や主張を聞いたり、関係する人と連絡を取り合ったり、時にはもめごとの仲裁や複雑な案件の処理をしたりする場面があります。人とコミュニケーションを取りながら仕事を進めるのが得意な人に活躍の場があります。

住んでいる方のニーズをくみとれる気配りがある人

住んでいる方のニーズをくみとる気配りがある人も、マンション管理フロントに向いています。

担当するマンションによって、住んでいる方や建物の状況は様々です。住んでいる方が何に困っているのか、どんな暮らしがしたいと思っているのか、気を配ることで様々なニーズが見えてきます。

ニーズを把握するには、以下のように様々な工夫ができます。

  • 管理人やコンシェルジュからの報告内容に目を配る
  • 問題がありそうなら小さなことでも現場に足を運んで直接話を聞く
  • 住んでいる方にアンケート調査を実施する

ニーズを適切にくみとることができれば、住んでいる方のために様々な提案ができるようになり、満足度アップにつながるでしょう。

課題を把握して解決策を考えられる人

担当するマンションの課題がどこにあるのか把握し、解決方法を提案できる人もマンション管理フロントに向いています。

マンションでは建物や設備といったハード面、人間関係や制度などのソフト面での課題を解消していくことで、住んでいる方の生活の質がアップします。全マンションで課題が共通していることはなく、担当マンションにより、個別の対応が必要な場面も多いでしょう。

課題の内容や規模を正確に把握し、解決する手順や協力先・進め方などを適切に考えて実行することで、スムーズに課題解消へと向かえます。

課題の解決は住んでいる方からの信頼につながり、仕事のしやすさもアップします。

早く正確な事務処理能力に自信がある人

マンション管理フロントの仕事には、事務処理能力が欠かせません。

以下のように、幅広く事務処理の求められる場面があるからです。1人のマンション管理フロントが複数のマンションを担当するため、以下の業務は担当マンションごとに発生します。

  • 管理組合の活動記録作成
  • 理事会や総会の議事録作成
  • 提案のためのプレゼン資料作成
  • 管理規約やマニュアル類の作成や改訂
  • 工事や修理に関わる見積り依頼や確認
  • 設備修繕プランの作成

複数の担当マンションがあるため、事務処理にかかる時間は侮れません。早く正確に処理できればミスや遅れによるトラブルも少なくなり、仕事の効率もアップします。

不動産の幅広い知識がある人

不動産の幅広い知識も、マンション管理フロントの仕事では役立ちます。

実はマンション管理には、以下のような幅広い分野の知識が求められます。

  • 法律:分譲マンションを管理する区分所有法など
  • 会計:管理費や修繕積立金の徴収、会計報告など
  • 建物や設備:メンテナンスや修繕について
  • その他:最新の不動産動向情報など

知識の裏付けがあれば、より自信を持って提案ができたり、課題発生時の対応策が見つかりやすくなったりするでしょう。
未経験の方は、働きながら徐々に知識を身につけられれば実践スキルと合わせて習得でき、効率的です。

関連資格を持っている人

マンション管理の関連資格も、マンション管理フロントの仕事に活かすことができます。

関連資格は、マンション管理業務やサポートに直結する内容になっているからです。

代表的な3つの関連資格を紹介します。

管理業務主任者

「管理業務主任者試験」に合格し、管理業務主任者証の交付を受けた国家資格者です。
管理会社が管理組合などに対して、管理の委託契約に関する重要事項を説明する際や、管理事務の報告を行う際などに必要な資格者です。

以下の4点は、有資格者の独占業務になります。

  • 管理組合と管理委託契約を締結する際の、重要事項の説明
  • 重要事項説明書への記名
  • 管理受託契約書への記名
  • 管理組合に対しての、管理事務に関する内容の報告

取得には2年以上のマンション管理実務経験が必要です。未経験の方は試験に合格した後、登録実務講習を修了すると取得が可能です。
>>参考:管理業務主任者とは|一般社団法人マンション管理業協会

マンション管理士

「マンション管理士試験」に合格し、登録を受けた専門家です。管理組合の運営やマンションの維持・管理に関する知識を取得しているため、管理組合や住んでいる方への助言に役立ちます。
>>参考:マンション管理士試験について|公益財団法人マンション管理センター

マンション維持修繕技術者

「マンション維持修繕技術者試験」に合格して登録を受けた、マンションの維持・修繕に関わるメンテナンスの専門家です。マンションの長期修繕計画・大規模修繕工事について、コンサルティングや計画書の作成更新などを担える資格です。


マンション管理フロントの有資格者はそこまで多くないのが実情ですが、より長く居住できるマンションを保つためには、こうした維持修繕に関わる技能・知識が役立ちます。
>>参考:マンション維持修繕技術者とは|一般社団法人 マンション管理業協会

その他、不動産に関わる宅地建物取引士や防災に関わる防災センター要員などの資格が役立つこともあります。

資格取得で学んだ知識を活かしながら、実務経験を積むことができます。

マンション管理フロントは楽しい!仕事のメリット

マンション管理フロントの仕事には、どのようなメリットがあるのでしょう。代表的な4つをご紹介します。

  • 女性や未経験でも転職しやすい
  • 個人の裁量で仕事ができ柔軟に働ける
  • 不動産の幅広い知識が身につく
  • 幅広い課題に対処するスキルが身につく

経験を問わず挑戦できる仕事で、キャリアアップに役立つ知識やスキルが身につきます。各メリットを詳しく解説します。

女性や未経験でも転職しやすい

マンション管理フロントの仕事は、女性や未経験からでも転職が可能です。

マンション管理を委託する管理組合の数は微増傾向にあり、マンション管理フロントの求人には中途採用も多く見られるからです。
>>参考:令和6年マンション管理受託動向調査結果概要|一般社団法人マンション管理業協会

異業種から転職している方や女性の方も活躍しています。

専門的な知識が必要な業務もありますが、働きながら学ぶことも可能です。実務経験を積みながらスキルアップできる仕事でもあります。

個人の裁量で仕事ができ柔軟に働ける

マンション管理フロントの仕事は、個人の裁量で仕事が進められ、柔軟な働き方ができることが魅力です。

個人の裁量が大きいのは、担当するマンションごとに状況を判断しながら仕事をこなす必要があるからです。

仕事の内容が幅広いぶん、個人でスケジュールを管理して進めます。働く場所も固定ではなく、状況に応じて以下のように様々です。

  • 事務処理やグループの連絡会議 → 社内でのデスクワーク
  • 現場巡回や現場での打ち合わせ → 担当するマンションへの訪問
  • 理事会や総会 → 担当するマンション内や近隣の会議室での開催

事務処理をスピードアップしたり、打ち合わせや巡回のスケジュールを上手く調整したりできれば、柔軟かつ効率的に働くことができます。

不動産の幅広い知識が身につく

マンション管理フロントの仕事を続けるうちに、不動産の幅広い知識が身につくのもメリットです。

管理業務の中には専門的な知識が必要な内容や、有資格者のみが担当できる業務があります。

このため、実務や資格試験に向けた勉強などで、以下の知識が身につきます。

  • マンションの建物や設備に関する知識
  • 建築基準法・区分所有法などマンションに関連する法律の知識
  • マンション運営に必要な会計の知識

幅広い知識が身につくことで、関連業界への転職に有利になったり、自身が不動産を購入する際に役に立ったりします。
新しい情報のリサーチや知識の習得が好きな方にとっては、自身の好奇心も満たせる環境です。

幅広い課題に対処するスキルが身につく

マンション管理フロントの業務では、幅広い課題に対処するスキルが身につきます。

業務の幅が広くマンションごとに課題が異なるため、個別性の高い対応が求められるからです。

実際の業務でよく対応する課題には、以下の例があります。

  • 住んでいる方からのトラブルの相談対応
  • 建物や設備に関わるトラブルや修繕の対応
  • 管理組合の運営に関する相談や資金面の相談対応

いずれもひとつひとつクリアしていくうちに、自身の対応力も上がっていきます。住んでいる方の満足度やマンションの資産価値向上にも貢献できるので、成果や仕事のやりがいにつながります。

マンション管理フロントはつらい?よくある質問7選

マンション管理フロントの仕事は大変ではないか?心配している方もいるでしょう。以下がよくある7つの質問です。

  • 残業が多いのは本当?
  • 土日出勤は多い?不規則な勤務時間になりがち?
  • 対人ストレスが大きい?
  • 仕事内容が専門的?
  • 仕事にノルマはある?営業しなければいけない?
  • 仕事内容に年収が見合わない?
  • 仕事が大変で転職してしまう人が多い?

マンション管理フロント特有の事情でも、自分のメリットに変えられそうなら転職先として検討できるでしょう。それぞれの質問について解説します。

残業が多いのは本当?

マンション管理フロントの仕事は残業が多くなる傾向にあります。

主な理由は以下の2点です。

  • 土日祝日・平日夜に開催される理事会や総会の運営をする必要がある
  • 担当するマンションが個別に決まっているため、期限直前の事務処理は責任を持ってこなす必要がある

理事会や総会はマンションに住んでいる方が出席しやすいように日程が組まれるため、どうしても土日祝日や平日夜の開催になりがちです。
また、事務処理は担当するマンションごとに担当者が判断せざるを得ない内容もあり、同僚や上司と分担しにくい性質があります。

平日日中に振替休日を取得するなど、柔軟なスケジュール管理が必要です。

土日出勤は多い?不規則な勤務時間になりがち?

マンション管理フロントの仕事は、土日出勤や不規則な勤務時間にもなりがちです。

マンションに住んでいる方が優先になるため、土日の対応が必要だったり、トラブル対応で予定していなかった時間を割いたりすることもあります。

以下のような働きかたが認められている会社だと、スケジュール管理や体調管理が楽になるでしょう。

  • オフィスへの時差出勤や、現場への直行直帰ができる
  • オンライン会議システムを使って在宅勤務ができる
  • 平日に振替休日が取れる

プライベートのスケジュールと両立しながらフレキシブルな勤務がしたい方には、おすすめの働きかたです。

対人ストレスが大きい?

マンション管理フロントの仕事は、対人ストレスも大きくなります。

対人ストレスの原因は、住んでいる方や関係者とのコミュニケーションです。
時には管理会社への苦情に対応しなければならない、住んでいる方同士のトラブル仲裁に入らなければならないなど、人間関係に気を使う場面もあるでしょう。

このような場面では、社内で他のマンション管理フロントに相談できる体制になっていると安心です。企業によってはグループ制・チーム制を取っており、似たようなケースや課題を同じマンションフロント同士で相談しあえます。

マンションごとに担当者の対応が必要な場面でも、1人でかかえこまない体制になっているとストレスが軽減されそうです。

仕事内容が専門的?

マンション管理フロントの仕事は、不動産やマンション管理に関わる専門知識があると業務の幅が広がります。

法律・会計・マンションの維持管理に関わる専門知識があれば、事務処理にあたるとき内容が理解しやすく、効率よく進められるでしょう。

また、以下のように新しい知識が求められる場面では、日頃の情報収集が役立ちそうです。

  • 住民同士のコミュニケーションに導入できるアプリの検討
  • 電気自動車の充電ができる駐車場設備

好奇心旺盛なタイプの方や、仕事内容に関わる知識を習得してキャリアアップを図りたい方には向いている仕事と言えそうです。

仕事にノルマはある?営業しなければいけない?

マンション管理フロントの仕事では、担当マンションの設備・大規模修繕工事の受注を目標とする管理会社が多くあります。

建物に関わる重要な工事を任されるには、担当マンションの管理業務に日ごろから責任を持ってあたり、管理組合の方と信頼関係を培うことが大切です。

事務手続きの提出締切を厳守する、問い合わせや要望に関してはできるだけ早めに完了するなど、ひとつひとつの業務によって住んでいる方の満足度が高まれば、管理組合から信頼されるでしょう。

中長期的な信頼を積み重ねる営業活動には、販売や仲介といった短期的な営業活動にない醍醐味があります。

仕事内容に年収が見合わない?

マンション管理フロントは、経験と実績によって年収アップの見込める仕事です。

マンション管理フロントの平均年収は、令和5年賃金構造基本統計調査から478.3万円となっています。
>>参考:マンション管理フロント|職業情報提供サイト(日本版O-NET)|厚生労働省

他業種の年収と比べて大きく低いということはありませんが、残業や不規則な勤務があったり、担当するマンションにより対人ストレスが大きかったりすると、年収に見合わないという感覚を持つ方もいるようです。

しかし、マンション管理フロントの実務経験を積んでいくうちに、年収はアップします。
主任やリーダーといった役職者として実績が積めると、さらに上のポジションも目指せるからです。

年収の相場としては、主任・リーダークラスで年収600万円程度、課長・次長クラスで600万円後半から700万円を超えてきます。

他の業界と比べても遜色なく、キャリアアップに応じた年収アップも見込めそうです。

仕事が大変で転職してしまう人が多い?

転職エージェントによると、マンション管理フロントの仕事から転職する人には、実は同じマンション管理フロントへの転職が少なくありません。

得られた経験と専門性を活かせば、より自分に合う環境に移り、キャリアアップに挑戦できるからです。

特にマンション管理フロントの経験者が転職する主な理由は、以下のとおりです。

  • 大手で安定した会社・就業環境が自分に適した会社に転職して、マンション管理フロントの仕事を続けたい
  • サポート体制や給与水準がよりよい会社に転職して、マンション管理フロントの仕事を続けたい
  • マンション管理フロントの経験を活かして不動産開発やコンサルティングなどを行う会社に転職し、より幅広い業務に挑戦したい
  • マンション管理フロントの経験を活かしてビルメンテナンスや設備管理などを行う会社に転職し、専門性を磨きたい

マンション管理フロントは、理想のワークライフバランスや給与・キャリアを目指して、転職でのステップアップをねらえる仕事です。

まとめ:マンション管理フロントに向いている人

今回は、マンション管理フロントの仕事に求められる適性や経験、仕事のメリットやよくある質問を解説しました。

マンション管理フロントには、人とのコミュニケーション力や他職種での幅広い経験が活かせます。
具体的には以下6項目に当てはまる人です。

  • 人と接するのが好き・コミュニケーションが得意な人
  • 住んでいる方のニーズをくみとれる気配りがある人
  • 課題を把握して解決策を考えられる人
  • 早く正確な事務処理能力に自信がある人
  • 不動産の幅広い知識がある人
  • 関連資格を持っている人

また、仕事のメリットとして転職のしやすさ・個人の裁量権・知識が身につく・課題対応力が上がる点を紹介しました。
仕事の大変さはあっても、自分には合っていそう・チャレンジしてみたいと思えた方は、マンション管理フロントの仕事に向いているのではないでしょうか。

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