
マンション管理フロントの仕事は未経験でも転職できるのか、未経験で転職すると仕事がつらいのではないか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、マンション管理フロントには未経験でも転職できるのかを詳しく解説します。
マンション管理フロントの仕事には、社会人として誰もが持つスキルが活かせます。また、専門的な知識は実務で学び、経験を積むことができます。
結論からお伝えすると、実はマンション管理フロントは、未経験の方におすすめの転職先ですよ。
目次
マンション管理フロントはマンションに住む方にとって欠かせない仕事

マンション管理フロントは、分譲マンション管理組合の運営をサポートする仕事です。
管理組合とは、分譲マンションの維持管理を目的とした自主管理組織です。分譲マンションを購入した、各室の区分所有者で構成されます。
マンションは集合住宅ですので、様々なルールを自主的に決めて、建物や設備を管理していかなければいけません。ただし、専門的な点検や修繕、区分所有者全体でルールを改訂する場合など、全てを自主管理で行うのは難しいのが現状です。
そこで多くの管理組合は、マンション運営業務を管理会社に委託しています。
マンション管理フロントは、管理を委託された会社の代表となる、マンション維持管理のプロフェッショナルです。管理組合の運営業務を幅広くサポートし、住んでいる方の安心・快適な暮らしに欠かせない存在です。
マンション管理フロントの仕事は幅広いスキルと経験が得られる!

マンション管理フロントの仕事は、幅広いスキルと経験を得られます。
マンションの維持管理には様々な運営業務があるためです。
マンションごとに、フロント担当者は以下の業務にあたります。
- 事務作業(管理規約の改訂や管理組合の活動記録作成など)
- 理事会や総会の運営サポート(日程や会場の調整、議案書の事前作成、当日の進行など)
- 設備や建物の維持管理(点検やメンテナンスを実施する業者の手配や、やり取りなど)
- 関係者との折衝(管理費・修繕積立金支払い遅延者への督促や周辺地域住民とのやり取りなど)
- 関係者のマネジメント(管理人やコンシェルジュの管理・監督)
業務の幅が広いのはもちろん、マンションごとにさまざまな運営の仕方や個別性の高い課題があります。柔軟に対応するなかで、経験値やスキルが豊かになる仕事です。
マンション管理フロントに未経験でも転職できる理由

マンション管理フロントの仕事は、未経験でも転職可能です。理由は以下の2つです。
- まずは基本的なビジネススキルが重要
- 専門スキルや知識を実務や資格取得で補足できる
他の業界で就業経験があり、必要な知識やスキルを習得したい気持ちがあるなら、挑戦できる仕事です。詳しく解説します。
まずは基本的なビジネススキルが重要
マンション管理フロントの仕事では、基本的なビジネススキルが求められます。
マンション管理においては、顧客となる区分所有者、つまりマンションに住んでいる方の満足度アップが成果です。専門的なスキルはもちろん歓迎されますが、実務で身につく面も多いため、まずはマンション管理に関心があるならば問題ありません。
以下のように、業界を問わないスキルや経験が求められます。
- 様々な関係者とのコミュニケーションスキル
- 担当マンションの課題を明らかにするスキル
- 課題解決のための調整力や段取り力
- 報告書・提案書・議事録等を作成するPCスキルと事務処理能力
- 住んでいる方(顧客)に向けたホスピタリティ
いずれも他の業界と共通するビジネススキルのため、未経験の方でも転職で歓迎されます。
専門スキルや知識を実務や資格取得で補足できる
マンション管理フロントへの転職は、実務や資格取得によってスキルや知識を補足していくことが前提です。
マンション管理には、さまざまな専門スキルが欠かせません。また、建物や設備・法律・会計の知識があると、業務が効率的に進むようになったり、住んでいる方に向けた幅広い提案ができるようになったりして、仕事のやりがいもアップしていきます。
転職エージェントによると、年代別の転職傾向は以下のとおりです。
- 30代までは資格なし・未経験での転職実績も多い
- 40代では管理業務主任者の資格取得とあわせ、営業や接客経験を持つ方の転職実績が多い
- 50代では経験者採用の割合が高い
マンション管理フロントの経験者も、関連資格を取得してキャリアアップにチャレンジしています。
転職をめざす方はこれまでの仕事の経験を土台にしながら、並行して関連資格などでマンション管理に必要な知識を習得し、実務経験を積めると効果的です。
マンション管理フロントの年収は他職種と比べてそこまで低くない

マンション管理フロントの平均年収は、令和5年賃金構造基本統計調査によると478.3万円となっています。
平均年収が、他業種と比べて大きく低いということはありません。勤務地によっては平均年収を上回る求人もありますし、昇給機会が提示されている求人も注目です。
>>参考:マンション管理フロント|職業情報提供サイト(日本版O-NET)|厚生労働省
>>参考:|Job Search「マンション管理フロント」(Prime Carior)
主任やリーダーといった役職者として実績が積めると、さらに年収はアップします。
主任・リーダークラスでは年収600万円程度、課長・次長クラスでは600万円後半から700万円を超えるのが相場です。
転職後も、経験やポジションにともなって、年収アップを目指せます。
マンション管理フロントに転職するメリット5選

マンション管理フロントへの転職は、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下5点をまとめました。
- 求人が安定して豊富にあり、希望エリアや企業規模から選べる
- マンション管理のための幅広い業務経験が積める
- 業務を通してマンション管理に関する専門知識を得られる
- 様々な対応で課題解決の能力が磨かれる
- 対人業務でコミュニケーション力が磨かれる
中途採用でも応募しやすく、幅広い業務経験やスキルに加えて専門的な知識も取得できる、成長志向の方に特に向いている仕事です。
求人が安定して豊富にあり希望エリアや企業規模から選べる
マンション管理フロントは求人数が安定しており、転職したい方の希望エリアや企業規模から選べる状況です。以下に傾向をまとめました。
- 求人数が安定して豊富
全国的に管理組合からの委託件数が安定しており、急激な増減がないことが特徴です。受託棟数・戸数とも微増の傾向にあります。
- 希望エリアから選べる
全国で求人があります。特に首都圏・近畿圏といった都市部に活躍の場があります。
- 企業規模から選べる
令和6年の調査では、受託戸数3,000戸未満の企業が161社あるのに対し、10,000戸以上の企業も88社と、様々な規模の企業があります。
管理するマンション棟数が多い企業、1棟あたりの管理戸数が多いタワーマンションを多く抱える企業など、形態も様々です。
大手企業を志望する方は、求人にて「上場企業」「上場企業グループ」となっている情報も注目です。
>>参考:令和6年マンション管理受託動向調査結果概要(一般社団法人マンション管理業協会)
>>参考:|Job Search「マンション管理フロント」(Prime Carior)
中途採用の方でも、どのエリアで仕事をしたいか、どのような企業規模が自分の嗜好に合うか、じっくり見定めることができます。
マンション管理に関連する幅広い業務経験が積める
マンション管理フロントは、担当マンションごとに様々な状況に対応します。そのため幅広い業務経験を積みたい方におすすめです。
マンション管理フロントのもとには、建物や設備・管理組合内のルール・住んでいる方からの細かいニーズや要望など、様々な対応業務が集まってきます。
以下のように、日々の業務は事務作業から対人業務まで様々です。
- 必要書類作成などの事務作業
- 管理組合の皆さんが開催するマンション理事会や総会の運営サポート
- マンション設備の維持管理に関わる調整
- 管理組合内や地域の関係者との折衝業務
- 日々のマンション管理にあたる管理人やコンシェルジュのマネジメント
ひとつひとつの業務を積み重ねることで、住んでいる方の満足度やマンションの資産価値アップにつながり、成果として認められます。
同時進行で複数のマンションに対応するため、マルチタスク能力も鍛えられます。
業務を通してマンション管理に関する専門知識を得られる
マンション管理フロントの仕事は、専門知識も身につきます。
マンション管理のスペシャリストとして、建築・法律・会計などの知識が求められるからです。実務と並行して知識を取得したい、資格を取得したい方には、資格手当のつく企業もあります。
実務で身につく知識は、以下のとおりです。
- マンションの建物や設備に関する知識
- 建築基準法・区分所有法など、マンション管理に関わる法律の知識
- マンション管理に関連する会計の知識
- 事務作業に必要なパソコンの知識
- 関係者とのコミュニケーションに必要なITツールの知識
得られた専門知識は、マンション管理フロントとしてのキャリアアップ・年収アップに結びつきます。さらに、プライベートで不動産を借りる・購入する際にも役立ちます。
様々な対応で課題解決の能力が磨かれる
マンション管理フロントの業務では、様々な課題解決の場面があります。
担当マンションの課題に責任を持って対応するうち、判断力が鍛えられるのがポイントです。
協力業者の力を借りたり、管理組合の方と調整したりするなかで、折衝スキルの向上も期待できます。
課題解決の必要な例は、以下のような場面です。
- 管理業務の効率化
- 管理組合の運営改善
- 設備の不具合や清掃業務の改善
- 防災対策によるマンションの安全性向上
- そのほか住んでいる方のニーズに対応
どれも住んでいる方の環境やマンションの資産価値に直結しており、解決できた実績は自身のキャリアアップ・モチベーションアップにつながります。
対人業務でコミュニケーション力が磨かれる
マンション管理フロントの仕事には、コミュニケーション力が磨かれる対人業務が多くあります。
多くの業務が、さまざまな関係者との連絡・調整や折衝で進んでいくためです。
理事会や総会はじめ、マンション管理フロントがサポートする管理組合の方は顧客に当たるため、細やかな気配りやホスピタリティのある方もスキルを発揮しやすいのがポイントです。
他にも、以下の様々な関係者をマネジメントすることで、マンション管理が円滑に進みます。
- 管理人やコンシェルジュなど、マンションに駐在し管理業務を担う方
- 設備や建物の課題に対応してもらう業者の方
- マンションが立地する地域の住民や行政職員の方
現場にいる方や専門職の方と円滑にコミュニケーションできれば、スムーズに業務が進むはずです。
マンション管理フロントはきつい?知っておきたい5つの特徴と対策

マンション管理フロントの仕事が「きつい」と言われてしまう原因は何でしょうか。以下に仕事の特徴をまとめました。
- 幅広い業務への対応が求められる
- 時には緊急対応が求められる
- 勤務時間が不規則になる
- 働く場所は業務内容によって様々
- 対人ストレスが大きい傾向がある
実は「きつい」と言われる仕事でもメリットがあったり、対策があったりするようです。詳しく解説します。
幅広い業務への対応が求められる
マンション管理フロントは、マンション管理の幅広い業務に対応するスペシャリストです。
担当マンションに関しては個人裁量が基本のため、責任を持って日々の管理業務に対応する必要があります。
以下のように幅広い業務があり、様々なスキルと知識が求められます。
- 建物や設備に関する業務
- 管理費や修繕にかかわる会計業務
- 各種手続きに必要な事務処理業務
- 住んでいる方など関係者に関わる対人業務
転職したばかりのタイミングや、担当マンションが変わって間もない時には、自分1人での対応に不安を覚えることもあります。そのような時は、チーム制やグループ制を取っている管理会社なら安心です。
誤った判断ができないタイミングでは先輩や上司に相談できる環境なら、自信を持って担当マンションの業務にあたれます。
時には緊急対応が求められる
時には、マンション管理フロントが現場の緊急対応を求められることもあります。
マンションには管理人やコンシェルジュがいますが、常駐時間・曜日が決まっているのが一般的です。不在のタイミングで緊急事態が発生すると、管理会社やマンション管理フロントに連絡が入ります。
設備の誤作動やセキュリティの不具合・水漏れなどでは、速やかに現場を確認して、場合によっては協力業者に依頼をしなければ事態が収拾できません。
スピーディに対応できるほど被害やその後の処理が小さく済みますし、住んでいる方の安心・信頼にもつながります。
勤務時間が不規則になる
マンション管理フロントは、時間外の業務もこなす必要があります。
マンションの理事会や総会は、住んでいる方が出席しやすいように平日夜や土日開催が多いからです。また、担当マンションの事務手続きで、締切が重なった場合にも対応しなければなりません。
その分、時間外手当がついたり、フレックス勤務でスケジュールを調整できたり、各管理会社によってさまざまな就業規則があります。
業務に慣れてくると、自分の仕事を自分でコントロールできる点をメリットと感じるマンション管理フロントもいます。
働く場所は業務内容によって様々
マンション管理フロントの仕事はオフィス勤務が基本とはいえ、外出機会も多くあります。
現場の立ち会いや業者との打ち合わせなど、担当マンションを訪問することも大切な業務になるからです。
以下のように、さまざまな場所で業務をこなします。
- オフィス:書類作成や事務処理、管理会社内の会議や面談
- 担当マンションへの訪問:管理人や協力業者との打ち合わせ、管理組合の理事会開催
- マンション内や近隣施設の会議室など:管理組合の総会開催
最近では直行直帰ができたり、リモートワークができたり、マンション管理フロントの効率的な働き方を模索する管理会社も増えています。
転職したばかりの時期は慣れないこともあるかもしれませんが、外出予定や移動時間をふまえて仕事のスケジュールを整えられると効率的です。
業務内容によっては体力が必要
マンション管理フロント業務の全てではありませんが、時には体力の必要な場面もあります。
完全なオフィスワークを想像していると、つらいと感じることがあるかもしれません。
マンション内のコミュニティで開かれるイベントや、総会・理事会では、設営撤去の作業や立ち仕事があります。
設備の保守点検に立ち会う際などは、建物内を巡回することもあります。
担当マンションの業務全てに対応するため、時には体力が必要な場面もイメージしておきましょう。
対人ストレスが大きい傾向がある
対人ストレスは、マンション管理フロントの仕事では避けて通れない悩みです。
人とのコミュニケーションで成り立つ業務であるからこそ、時にはストレスになる場面も起こります。代表的な場面と対策をまとめました。
- 住んでいる方からのクレームや頼み事
クレームは直接のやり取りが必要になり、神経を使います。頼み事は全てに対応できませんが、貯まると管理会社への不満に結びつきかねません。適切な線引きをしながら対応が必要です。
クレームや頼み事に対しては、自分1人で安易に対応しないよう、同じ管理会社内で内容を相談することも大切です。
- 管理会社と管理組合との板挟み
必要な修繕や改善を実施したい管理会社と、可能な限り管理費を節約したい管理組合との間に立つポジションで、板挟みになることがあります。
マンションの資産価値向上と、区分所有者の皆さんの折り合いがつけられるよう、丁寧な調整が必要です。
対人業務は難しい場面が多い一方で、対応次第では住んでいる方に喜ばれ、直接感謝されることもあります。
長い時間をかけてさまざまな人の信頼を積み重ねられることが、マンション管理フロント業務の醍醐味とも言えます。
まとめ:マンション管理フロントは未経験の方にもおすすめの転職先
今回は、マンション管理フロントの仕事が未経験の方にもおすすめな理由を解説しました。
マンション管理フロントは、中途採用でも応募しやすい仕事です。幅広い業務経験や専門的な知識を実務で取得できる、以下5点のメリットがあります。
- 求人が安定して豊富にあり、希望エリアや企業規模から選べる
- マンション管理のための幅広い業務経験が積める
- 業務を通してマンション管理に関する専門知識を得られる
- 様々な対応で課題解決の能力が磨かれる
- 対人業務でコミュニケーション力が磨かれる
また、「きつい」と言われるマンション管理フロントの仕事にも、実はメリットや対策があります。
- 幅広い業務への対応が求められるが、管理会社内で相談のできる体制なら安心
- 時には緊急対応が求められるが、住んでいる方の安心や信頼につながる大切な業務
- 勤務時間が不規則で、働く場所も業務内容によって様々であるが、フレキシブルなスケジュール管理がコツ
- 業務内容によっては体力が必要なため、オフィスワークのみではないとあらかじめ留意
- 対人ストレスが大きい傾向があるが、住んでいる方からの感謝や信頼にもつながる
未経験からでも、業務経験や知識を取得しながら、様々な人と関わる業務にチャレンジしてみたいと思えた方は、マンション管理フロントの仕事に向いています。
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